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当サイト管理人が金融庁に意見書を提出

当サイト管理人が金融庁の金融サービス利用者相談室に意見を提出しました。匿名性(秘匿性)の高い暗号通貨(仮想通貨)について広く議論されるための土台にしていただきたいので、全文をここに公開致します。ご意見等がありましたら連絡用フォームからお寄せいただければ幸いです。

 

また、金融庁へご意見等のある方は金融庁金融サービス利用者相談室を利用されることをお勧め致します。

 

このページに掲載している意見(下記)に限り、著作権を放棄しますのでご自由にお使い下さい。


金融庁 金融サービス利用者相談室 御中

平成29年11月8日

 

秘匿性の高い仮想通貨の取り扱いについての意見

 

 

 

意見の要約

 

 金融庁に登録された仮想通貨交換業者が秘匿性の高い仮想通貨を取り扱うことを認めるべきであると考えます。



意見の背景

 

 現在、コインチェック株式会社が仮想通貨交換業者として金融庁への登録を申請しているものの未だ継続審査中となっていることの理由にコインチェック株式会社が秘匿性の高い仮想通貨【DASH(ダッシュ)、XMR(モネロ)、ZEC(ジーキャッシュ)】を取り扱っているからではないかという私の憶測から意見を述べさせていただきます。一人の仮想通貨愛好家としての意見です。的外れなものでしたらご放念下さい。



意見の理由

 

理由1:個人のプライバシーや企業・団体の秘密情報を保護できる仮想通貨の必要性が今後増すと考えられるため

 

 ビットコインを例に出します。ビットコインではアドレスと取引履歴がすべて公開されているため、アドレスの所有者が特定されれば容易にアドレスの残高や過去の取引を追跡することができます。通販サイトや顔見知りの相手との取引をするとその危険性は高まります。現状では、ウォレットとアドレスを使い分けて取引の関連付けをしにくくすることができますが、追跡が可能でビットコインの出所を探ることができるため、完全なプライバシー保護は難しい状態です。

 例えば、悪意のある事業者が顧客の住所・氏名等の個人情報とビットコインのアドレス・残高を結びつけた名簿を作成・販売しデータベース化が行われるというような犯罪の発生も考えられます。

 また、ビットコイン等の秘匿性の低い仮想通貨を利用する上でこのような危険性があることを利用者が十分に認識しているとは思えません。

 秘匿性の高い仮想通貨が誕生した背景にはビットコインがこのような問題を抱えていることがあります。仮想通貨が社会に浸透すればするほど個人のプライバシーや企業・団体の秘密情報を保護できる秘匿性の高い仮想通貨の必要性が増すと考えられます。



理由2:仮想通貨は随時アップデートされるものであり、現在登録業者が取り扱っている仮想通貨でも高い秘匿性を実装するアップデートが行われ得るため

 ご存知の通り、現在登録業者が取り扱っているイーサリアムは、先月16日にジーキャッシュに使用されているzk-SNARKsを実装し、秘匿性を高める動きを見せています。

 また、ビットコインも秘匿性についての議論が現在に至るまで多く重ねられており、今後高い秘匿性を実装する可能性があります。
 仮にコインチェック株式会社が取り扱っている秘匿性の高い仮想通貨を登録業者が取り扱えないようにするのであれば、アップデートにより高い秘匿性を実装した仮想通貨も取り扱えないようにしなければ整合性がとれなくなります。

 


理由3:国内の登録業者が秘匿性の高いコインを取り扱えないようにしてもマネー・ロンダリングの対策にはならないと考えられるため

 

 マネー・ロンダリング対策と称して、登録業者に秘匿性の高いコインの取り扱いを認めなかった場合、仮想通貨は容易に国境を越えますのでマネー・ロンダリングをしようとする犯罪者はビットコインを海外の取引所に送り、そこで秘匿性の高い仮想通貨に交換をするでしょう。海外の取引所の中には本人確認書類の提出が必要ない取引所も存在します。

 また、秘匿性の高い仮想通貨を使用しなくてもビットコインのミキシングサービスを提供する海外のサイトにビットコインを送ることで取引履歴を追跡されにくくすることが可能です。

 こういったことが起こり得るため、本人確認が必要な国内の登録業者で秘匿性の高い仮想通貨を取引できるようにすることが最善のマネー・ロンダリング対策と考えられます。


 

 

 以上、ご検討いただけましたら幸いです。既にご承知のことばかりでしたらご容赦下さい。